心理カウンセラー認定試験(第4期) 受講者の発表7

「リフレーミング ~受け止め方が変われば世界が変わる~」

自己紹介

今日は、「夫婦関係が破綻した原因は全て夫にある」と考えていた私が、リフレーミングを知ることで、私自身の夫への感情がプラスに変化した話をします。

★恵那市明智町に生まれ育ち、大学生の頃から付き合いのあった夫と結婚したのをきっかけに高山市へ引っ越しました。公務員で収入が安定している夫、あこがれの新築一戸建て、可愛い我が子にも恵まれ、はたから見た私は人生の勝ち組にも見えるのかもしれません。私自身、結婚した時にはそう思っていました。何の不安も迷いもなく、順風満帆な人生がおくれるのだと、信じて疑いませんでした。しかし、人生何が起きるか分かりません。なぜなら、私は今、離婚調停の真っ最中だからです。

 

過去の自分

★過去の自分を振り返った時、幸せなはずの結婚生活が離婚へと舵を切ったポイントは、新婚わずか1年で発覚した夫の不倫。

 

★妻が夫にされて嫌なことナンバー1と言っても過言ではない、不倫です。あの時のことは今でも鮮明に覚えています。真夜中、電気も付けっぱなし、スマホも握りっぱなしで寝ている夫。「もうしょうがないなぁ」そんな気持ちで夫の手からスマホをそっと抜き取った時、画面に通知が表示されました。見知らぬ女性からのLINE。途端に反応する妻の第六感。震える指でLINEを開くと、そこにはおびただしいほどの女性とのやり取り、メールの未読は出会い系サイトからばかりでした。そう、夫の不倫は特定の女性と懇意になるものではなく、出会い系サイトを通じて女性にお金を渡し、その場だけを楽しむものでした。

 

私は夫と結婚する時、3つの約束をしました。『不倫しない・タバコを吸わない・ギャンブルしない』その内の1つを結婚してわずか1年で破ったのです。この時の私はまだこの先どうするのか、つまり離婚するのかまで考えてはいませんでしたが、とりあえず証拠は押さえなければと、女性とのやり取りを写真に撮り続けました。しかし、朝までかかっても撮りきれないほどの量のやり取りで、私は途中で諦め、市役所へ離婚届を取りに行きました。その時間、なんと早朝5時。すっぴんで、パジャマで、泣きはらした目をした私を見て、警備のおじさんは驚いた顔をするも、私の「離婚届ください」という言葉に全てを察したように「頑張ってね」と離婚届を手渡してくれました。家に帰り、離婚届を記入していると夫が起きてきました。そこからはもう修羅場、地獄絵図。夫の言葉は全て言い訳にしか聞こえず、私は「離婚する!あなたのご両親に全てぶちまけてやる!」と言って、二人で十分に話し合うこともしないままに、夫の両親を巻き込んでしまいました。夫の両親に、夫がしたことを叱ってほしいという気持ちもありました。しかし、私の思いもむなしく、夫の両親は夫の肩をもち、私が妻としても女としてもいたらないから夫は不倫したと責め立てられました。

 

そこから私と夫はしばらくの間別居することになり、私は今後どうしたいのかを考えた時、結婚を喜んでくれた家族や友人のことを悲しませたくない、離婚はしようと思ったらいつでもできるのだからと思い、“今は”離婚しないと決めました。その決意表明として、二度と不倫しないという内容の誓約書を作り、夫にサインしてもらいました。しかし、この誓約書は夫の両親には見せないという約束もしたにも関わらず、夫は見せてしまい、私のやり口はヤクザそのものだとまた責められ、誓約書も取り上げられてしまいました。しかし、夫と再構築するために必要ならばと、私は私の気持ちに蓋をして、妻として女性として私に非があったことを認め、夫の不倫の原因は全て私にあると、夫の両親に謝罪をしてこの一件をおさめました。

 

こうして、★夫婦の危機的状況を、私と夫の二人で乗り切るということをしなかったばっかりに、その後におとずれる家族の問題にも協力して立ち向かえるわけもありませんでした。

特に、その後に生まれた子どもの育児をめぐり、いさかいが絶えませんでした。★“今は”離婚しない、と決めた当時の気持ちが次第によみがえり、毎日「離婚したい」と考えるようになっていました。しかし、子どもはまだ小さく、家も建てたばかり…離婚できない理由を挙げてはストレスと愚痴がたまる毎日でした。

 

そんな時、事件が起きました。★私は土曜日も仕事があったので、休みだった夫に子どもを託して仕事に行きました。その最中に、夫は子どもに某ハンバーガーのてりやきバーガーを食べさせてしまったのです。子どもは卵アレルギー。マヨネーズなんてもってのほかです。幸い、子どもはお腹を下す程度で済みましたが、実はこれが3度目。今までも口を酸っぱくして、子どもに卵が入ったものを与えないこと、与える前に原材料をよく確認すること等を伝えてきましたが、全く伝わっていなかったのです。なぜ子供に食べさせたのかと聞くと、「子供が食べたがったから」と言われました。当時まだ4歳になったばかりの子ども、食べてよいものとダメなものの区別がつくわけがありません。子どものことを安心して託せない人とは生活を共にできないと思い、★その日の内に夫と夫の両親に面と向かって離婚宣言、準備が整い次第家を出ることを伝え、半年かかって別居しました。

 

 

心理学との出会い

★私がなみさんに出会ったのは、別居して2ヶ月程たった時でした。

 

★maikaを見ていたら「カウンセラー募集」という言葉が飛び込んできました。

元々大学では心理学を学びたかったものの、第一志望の心理学部に落ちて第二志望の学部では十分に心理学を学べなかったこと、また発達がゆっくりで療育やリハビリに通う子供を育てていくためにフリーランスという働き方に興味があり、別居前にコーチング系の資格はとったものの、ビジネスや起業に活かせず、どうしたものかと悩んでいた時でした。

 

★私が離婚を決意した時、これから先の人生、「悩んだらやってみる」を実践すると決めていたので、なみさんに会って話を聞き、ととのえ心理学の世界へ飛び込みました。女性の人間関係は、仕事上の人間関係や子どもを通したママ友付き合いがほとんどの割合を占めると思いますが、講座には年齢も立場も全く異なる受講生さんたちが集まります。同じ女性という立場、同じ妻という立場から見ても、みんなそれぞれ考え方が違います。そんな当たり前のことも知っていたはずなのに気づけていませんでした。夫の考え方が私と違うのも、そりゃ当然だよな…と思いました。

 

 

実際に行ったこと(講座の中の気づき)

★講座を受けていく中で、私と夫はどうして離婚という結末になってしまったのか、他に道はなかったのか、ずっと考えていました。

それまでの私だったら、「不倫した夫が悪い!全部夫のせい!」と思っていたと思います。なぜなら、全て夫のせいにしてしまう方が楽だったからです。自分のダメなところと向き合わなくて済むからです。

時間を戻すことはできませんが、心理学を学び、「もし私がアノ時に戻れていたら」と気づいたことは2つあります。

 

★1つ目は“傾聴”、2つ目は“べき思考”です。

まず、私には圧倒的に“傾聴”が足りませんでした。

 

★“傾聴”とは、相手が何をわかってほしいのか聴く、何を言おうとしているのか聴くことで、パッシブリスニングとも言います。“聴く”という漢字は目と耳と心を足す、つまり全て使って聴くことを表しています。

 

★夫の不倫を知ったあの夜、たくさんの証拠を写真に撮りながら、★夫はどうしてこんなことをしてしまったのか、私に対して愛情はなくなってしまったのか、そもそも、最初から愛情なんてなかったのか、聞きたいことは山ほど出てきました。しかし、翌朝目を覚ました夫に向かって投げかけた言葉は、「今すぐ出会い系サイトを退会して!LINEもやめて!私の言うとおりにして!」と夫をコントロールしようとしたのです。★その後は先程も述べた通り、修羅場です。とにかく一方的に私が夫をなじり、夫は「ごめんね」を繰り返すばかり。もちろん、感情をぶつけることが悪いわけでなないことも、講座を通して学びました。しかし、私の感情だけを一方的にぶつけるだけぶつけて、夫の気持ちには耳を傾けないまま、夫の両親を介入させ、夫の気持ちや考えを聞く機会を自ら失ってしまっていました。そして私は、「夫に妻としても女としてもないがしろにされた」「やっぱり夫は私を愛していない」という妄想から、夫の気持ちを一方的に決めつけていました。

 

もし、今あの時に戻れるなら、私の気持ちをぶつけたあと、すぐにとはいかなくても、時間をおいて、夫の言葉に耳を傾けたい。本当はあの時、夫はどう思っていたのか。今でも聞けないわけではありませんが、調停で双方弁護士という第三者が介入している状態では、純粋な夫の気持ちを聞くこと自体が難しく、また、“その瞬間”の気持ちと“振り返って考える気持ち”は微妙に違うと思います。夫の不倫によって傷ついたにしろ、私に余裕がなかったにしろ、アノ瞬間の夫の気持ちがもう聞けないということが、私たち夫婦にとっての何よりの機会損失になってしまいました。

 

★もう1つの“べき思考”は何でも「当然~すべきだ」「絶対~でなければならない」と頑固に思い込んでしまうことです。自分で考えた基準がさも当然であると考えてしまい、それによって現実に裏切られたように感じたり、人の行動にがっかりさせられることが多くなります。

 

★私は夫のことを“べき思考”で考えていたことに気づきました。

 

★夫の不倫により、私は全ての悪いことの原因は夫にあると考えるようになっていました。夫の気持ちに耳を傾けなかったくせに、私の気持ちは分かってほしい、聞いてほしい。夫は何よりも優先して傷つけた妻に寄り添う“べき”だ。私たち夫婦を壊した責任は夫にあるのだから、夫1人が頑張る“べき”だ。そう思い込んでいました。しかし、この“べき思考”を使う時というのは、つまり自分にとって都合良いことを相手に強いる時に使っているということに気づきました。★夫の両親から「夫婦二人で協力する“べき”」と言われた時、私は「なんで被害者でもある私が協力しなきゃいけないの?」と思って聞き入れませんでした。自分にとっての“べき”をぶつけ合うことは、コミュニケーションではなく相手をコントロールして支配することなのだと気づきました。

 

行動した結果手に入れたこと

★ここで言い出すとキリがありませんが、夫は本当にクズなダメ男です。

別居してから、自分の気持ちを吐き出す場として、私はツイッターを始めました。毎日1つずつ、結婚生活中に起きたことをつぶやいていますが、それでも次から次へとやらかしエピソードが出てきます。他の人のつぶやきを見た時、「夫はクズだけど、なんだかんだ私たちってうまくいってるわ」という人と、「夫に騙された!夫は加害者!私は被害者!」という人がいました。同じ愚痴を言っていても、前者の方が好感をもたれていることに気付いてから、私もただの愚痴にならないように、そこから何か気づきや得られることがないかを意識してつぶやくようになりました。

もし、心理学を学んでいなかったら、私は夫婦関係が破綻したことを全て夫のせいにして、自分の思い通りの条件で調停がすすまないことにもイライラし、子どもにもあたっていたのかもしれません。

 

★調停の中で、夫は好き勝手に一方的な主張をしてきます。しかし、これは今まで私が夫の言葉に耳を傾けてこなかった代償だと気づいてから、できるだけ丁寧に夫の主張に答えるようになりました。私の中でも譲れる部分があるとしたら何なのかを考えられるようになりました。そして、夫にぶつけたい私の気持ちがほとんど残っていないことに気づいてから、もしかしたら、★いつの日か夫婦でも子どもの親でもない、新しい関係が築けるのかもしれない、と思えるようになりました。それでもまだ夫の言動に振り回されたりイライラすることもありますが、その度に心の中で★“ゲシュタルトの祈り”を唱えるようにしています。ゲシュタルトの祈りはドイツの精神科医パールズさんの詩です。

 

  私は私の人生を生き、あなたはあなたの人生を生きる。

  私はあなたの期待に応えるために生きているのではないし、

  あなたも私の期待に応えるために生きているのではない。

  私は私。あなたはあなた。

  もし縁があって、私たちが互いに出会えるならそれは素晴らしいことだ。

  しかし出会えないのであれば、それも仕方のないことだ。

 

私と夫の間に新しい関係が築けるかどうかは私と夫次第です。そのための努力や工夫は必要ですが、うまくいかなかったとしても、それはゲシュタルトの祈りにあるように、仕方のないことなのかもしれません。でも、私はこれから先、夫との関係性がどうなろうとも、私の人生を生きていくと強くはっきり思えるようになりました。

 

さらに手に入れたこと

★そしてさらに気づいたことが、私にとってのラスボスは、夫でも夫の両親でもなく、実の母親だということでした。講座で学んだことを付け焼刃で実践してもまるで歯が立ちません。おそらく、幼少期からの思いがずっとくすぶっているせいだと思います。母に立ち向かうには、インナーチャイルドセラピーが有効だと分かりましたが、今の私にはセラピーを受けるだけの気持ちが追い付いていません。今は実家で私と子どもがお世話になっているからこそ、母とも良好な関係を築いていきたい。母との関係は我が子との関係にも深く関わっていると思います。心理学の知識を一つずつ身に着けながら、きたるべきラスボス戦という目標が見えてきました。

 

とは言うものの、私の中にはまだ夫に対して許せないこと、怒り、そういう感情も残っています。キレイごとだけでは子どもを育てていけないので、財産分与も養育費もゴネれるだけゴネでやろうと思います。先ほどまでの私の言葉と矛盾するように感じるかもしれませんが、どちらも私の本当の気持ちです。人間は、みんなこのように一見相反するような気持ちを抱えて生きていることも講座を通じて学びました。だからこそ、こんな私のことを、まずは私が1番に受け入れていきたいです。

まとめ

★そういう気持ちになれたのも、ととのえの心理学を学び、リフレーミングを知ることができたからです。

リフレーミングとは、★こうでしかないという枠組み(これを認知フレームと言います)でとらえられている出来事を外して違う見方をすることです。一見、マイナスに見えることでも、プラスの見方にできないか考える。違う見方に置き換えることで、今までマイナスだと思っていたことが、実はそんなに悲観することではなく、かえって良かったとむしろプラスに転じると考えることができます。コップの水の話は有名ですね。★コップの中の水の量は変化しなくても、「まだ半分ある」と思うのか、「もう半分しかない」と思うのか…あなたはどちらでしょうか?

 

★私が心理学の知識を身に着けていれば、夫の言い分を聞きながら、私の言い分も返すことができたのではないか。そうできていれば、今とは違った未来があったのかもしれません。おそらく、何度タイムスリップしても夫の不倫は止められないと思います。それは夫自身が向き合わなければいけない問題でもあるからです。しかし、夫の不倫という事実は変えようがなくても、私がそれをどう受け止めどう行動するのか、それは変えることができたと思います。自分の心が変わることで、起きていることは変わらなくても、見えている世界が変わります。★夫の不倫は私にとって青天の霹靂でしたが、夫が不倫をしてくれたからこそ、私は私自身を見つめ直すきっかけになり、なみさんや受講生のみなさんとたくさんの縁を結ぶことができました。

 

あなたはどうですか?この先ずっと「夫が悪い」「親が悪い」「子供が悪い」「だから私は不幸なんだ」と思って生きていきますか?あなたの持っている枠組みのカタチを変えてみたり、見る角度を変えてみるだけで、昨日までの自分とは違うものが見えるのだとしたら、見てみたいとは思いませんか?私が変われたのだから、あなたもきっと変われます!

 

★以上で発表を終わります。

ご清聴ありがとうございました。